プロジェクトマネージャー 過去問解説【平成31年 午後1】

目次

問1 コンタクトセンタにおけるサービス利用の移行

設問1 [M社プロジェクトの移行条件]について,本文中の下線①でF課長がN氏に,特に自動対応機能の導入について詳しく確認したのはなぜか。25字以内で述べよ。

解答

リスクを特定し、今後の対応を計画するため

解説

本プロジェクトにおいて、自動応答機能の導入は実証実験的な進め方になることはP.4の冒頭に記載されています。実証実験的ということは、目標値と過程が定まっていない=振り幅(リスク)が大きいことに繋がります。

P.4の『(3)自動応答機能の導入』では、導入スケジュールについて

自動応答機能は、標準サービスの移行時期に合わせて導入し、標準サービス開始日にサービスを開始すること

と明確に導入日が指定されています。

しかし、P.5下線①以降のN氏からの回答を見ると

自動応答機能は新しい技術ということもあり、慎重に進めることも併せて指示されている

とリスクを加味していることわかります。F課長がこの回答を引き出し、自動応答機能の導入に対するリスクを見極めようとしていることがわかります。

設問2 [M社プロジェクトの移行条件への対応]について,(1),(2)に答えよ。

(1) 本文中の下線②について,M社における過去のシステム移行時の状況を踏まえて,F課長が1回目の移行リハーサルで検証することは何か。30字以内で述べよ。また,移行リハーサルの2回目を設定した目的は何か。35字以内で述べよ。

解答

検証すること作業手順及び移行時間の見積もりが適切であること
設定した目的1回目の移行リハーサルで検出された不備の修正結果を確認するため

解説

検証すること:[M社プロジェクトの移行条件]の(1)に過去のシステム移行での課題と『同様の問題の再発を避けること』という要件があります。同様の課題とは、一文前に記載されている下記になります。

M社における過去のシステム移行で,移行リハーサルを実施した際,作業手順と移行時間の見積りに不備があった。その後の修正確認と再見積りも不十分で,本番の移行作業が混乱したことがあった

設定した目的:今回は『時間内に移行作業を完了する』という強い要望があります。そこで1回目の移行リハーサルで検出された不備などを踏まえ、2回目のリハーサルも事前に想定しておきます。

余談ですが、、

1回目のリハーサルで不備が検出された訳ではないのに2回目がすでに設定されていることに違和感はありますね。まあ1回目の移行リハーサルが完璧なら2回目はスキップすればいいということでしょう(きっと)

あと、この前提では2回目の移行リハーサルは不備なく完了する前提になっています。3回目は必要ないようです。(きっと)

(2) 本文中の下線③について,訓練環境に求められる要件は何か。35字以内で述べよ。

解答

全てのオペレータが担当業務の全てについて操作できること

解説

これは難しいですね。IPAの講評にもある通り正答率は低かった模様

まずM社のコンタクトセンタについて振り返ります。

M社の売上は年々拡大していて,コンタクトセンタへの注文や問合せも増加し,オペレータの負荷が高まっている。

[M社コンタクトセンタの概要]

M社のコンタクトセンタの業務は,E社サービスの標準サービスで問題なく対応できる。

[E社サービスとM社の状況]

これにより、コンタクトセンタには複数の業務がありE社サービスの標準サービスにて業務を行う必要があります。訓練環境では、『複数の業務全てが操作できる状況』である必要があります。

『複数の業務全てが操作できる状況』とは、実際の現場を想定すると『環境設定・データ・権限などが正しく準備されている状況』を指します。

設問3 [自動対応機能導入のリスク対応計画]について,(1),(2)に答えよ。

(1) 本文中の下線④について,標準サービス用の訓練環境とは別の環境を用意して検証作業を行う狙いは何か。40字以内で述べよ。

解答

検証作業が、オペレータの標準サービスの訓練に影響を与えないようにするため

解説

検証用環境と訓練環境を分ける理由は『訓練環境に影響を与えないこと』です。特に今回の題材では、『標準サービスの導入』の方が『自動対応機能導入』より優先度が高いので、標準サービスの導入の訓練環境に影響を与えないようにする必要があります。

今回のケースに限らず、例えば検証作業中にデータ不整合を発生させてしまうと訓練環境に影響が出てしまいますので、できるだけ環境は分けるべきです。

今回のケースでも、自動応答機能はパラメータを変えながら実証実験的に導入する必要があると記載がありますので、パラメータを変えているうちに訓練環境に影響を与えないように別環境を準備した方がベターです。

(2) 本文中の下線⑤について,スケジュールに関する対応策は何か。また,品質に関する対応策は何か。それぞれ25字以内で述べよ。

解答

スケジュールに関する対応策自動対応機能の導入時期を遅らせる
品質に関する対応策サービス開始時の自動回答率の目標値を見直す

解説

スケジュールに関する対応策は、そのままですね。P.5のN氏へのヒアリングでも自動対応機能の導入は慎重に進めたいと言及されていました。

自動対応機能は,できるだけ早くサービスを開始するよう経営層から指示されているが,新しい技術ということもあり,慎重に進めることも併せて指示されている

自動対応機能の「品質」について言及しているのは『自動回答率』のみですね。これの見直しが解答になります。

問2 IoTを活用した工事管理システムの構築

設問1 [WBSの作成]について,H課長が,本文中の下線①の確認を行ったのはなぜか。30字以内で述べよ。

解答

プロジェクトの要素に抜けがないか確認するため

解説

MECEの考え方です。プロジェクトを要素分解しておりますが、『分解した要素に抜けがなく、プロジェクト完了基準を網羅していること』の確認が必要です。

設問2 [プロジェクトマネジメントの要素のリスクへの対応]について,(1),(2)に答えよ。

(1) 本文中の下線②について,H課長が考えた,G社プロジェクトが遅延するリスクがG社に与える非常に大きな影響とは,具体的に何を指すか。35字以内で述べよ。

解答

X国新工事の完了が納期に間に合わず損害賠償を請求されること

解説

プロジェクトにおけるリスクとは「それが発生すれば少なくともスコープ、スケジュール、コスト、品質といったプロジェクト目標に影響を与える不確実な事象・状態」を指します。

G社への影響という観点で問題文を確認すると、[顧客の状況]第一段落の最後に下記のコストに関しての記載があります。これが解答になります。

X国の工事では、納期に遅れた場合は多額の損害賠償金を支払わなければならない、という契約が慣例となっている。

(2) 本文中の下線③について,H課長が,G社プロジェクトの特性を考慮して行った人選とはどのような人選か。30字以内で述べよ。

解答

各要素の内容を理解して進捗状況を把握できる人材を選ぶ

解説

「IoT導入のプロジェクトに精通した人材」なども解答候補に挙がってきそうですが、IPAの意図とは違うようです。ここはシンプルに『各要素に精通し進捗状況を把握』することが重要ということでした。当たり前じゃんと思いますが、、

設問3 [他の要素のリスクへの対応]について,(1)~(3)に答えよ。

(1) 本文中の下線④について,H課長が工事スケジュール管理機能以外にソフトウェアパッケージが備えるべきと考えた,G社プロジェクトの要求事項を満たす機能とは何か。35字以内で述べよ。

解答

画像データや稼働状況データを分析して進捗をレポートする機能

解説

満たすべき要求事項は[G社工事管理システムの概要]を確認します。ここから工事スケジュール管理機能に関連する機能を抽出します。

  • ドローンに装着したデバイスによって工事現場を撮影して,収集した画像データをIaaS上のサーバに蓄積する機能
  • 建設機械に取り付けたデバイスによって稼働状況データを収集して,IaaS上のサーバに蓄積する機能
  • IaaS上のサーバに蓄積されたデータを分析して,工事進捗レポートを作成する機能

要素としては「画像データ」「稼働状況」「工事進捗レポート」の3つですので、これらを解答文を作成します。

(2) 本文中の下線③について,H課長が,G社の競争力強化の方向性から,G社で内製化する必要はないと判断した理由は何か。30字以内で述べよ。

解答

ドローンの要素技術はG社の競争力強化の源泉ではないため

解説

G社は土木工事業であり、ドローンについて事業を拡大する旨の記載はないため、投資をしてでも技術を確保したいという状態ではありません。

(3) 本文中の下線⑥について,H課長が新技術への対応に対する別の観点のリスクを回避したいと考え,事前にX国の関係機関に確認したことは何か。30字以内で述べよ。

解答

X国でドローンにの飛行に法的な制約があるかどうか

解説

下線⑤にも記載がありましたが、新技術とは『ドローン』を指していましたね。さらに下線⑥の直前に下記記載があります。

日本における法規制の状況から考えて

文脈から考えて、下線⑥も同じように法規制に関してのリスクを加味していると想定できます。

日本においてドローンは法規制の対象になっていることを知らないと答えづらいかもしれません。この際ですので下記を確認しておきましょう。

重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律
(平成28年法律第9号)

設問4 [IoTを活用したプロジェクトの特性]について,H課長が本文中の下線⑦で考えた,従来のシステム開発プロジェクトと比較して,IoTを活用したシステム開発プロジェクトのマネジメントを難しくする特性とは何か。35字以内で述べよ。

解答

多岐にわたる分野のステークホルダの統率や調整が必要になること

解説

表1を見た感想がそのまま解答になっているような問題です。

通常のシステム開発プロジェクトですと、ステークホルダはシステム開発会社やインフラベンダなどある程度限られますが

IoTを活用すると、上記に加えて『IoTデバイスのベンダ』『IoT関連のソフトウェアパッケージベンダ』『IaaSなどのクラウドベンダ』が追加になりステークホルダが多岐にわたることが分かります。

問3 プロジェクトの定量的なマネジメント

設問1 [R社のスケジュール及び品質に関するマネジメントの状況の本文中の下線①について,S課長はなぜ,品質に関するプロセスの改善は最小限にとどめることにしたのか。また,なぜスケジュールに関するプロセスの改善を優先することにしたのか。それぞれ,30字以内で述べよ。

解答

品質に関するプロセスの改善を最小限にとどめた理由品質重視の価値観が組織の強みとなっているため
スケジュールに関する改善を優先する理由進捗遅れの予防とリカバリ策の具体化が優先課題だから

解説

問題文中で『品質』と『スケジュール』についてそれぞれ言及されている記載を確認します。

品質はP.14の経営者からの説明に記載があります。

R社には職人気質のエンジニアが多く、組織の価値観として品質重視が浸透している

経営陣からの説明

品質には問題がないことが分かります。

次にスケジュールについての言及ですが、こちらも経営者からの説明に記載されています。

プロジェクトの佳境に入って、進捗遅れが発覚して、顧客から苦情を受けるといったことが徐々に増えてきている

経営陣からの説明

スケジュールに関しては課題があることが他の記載にもありますので、スケジュールに関するプロセスの改善が必要であることが分かります。

設問2 [進捗遅れの原因分析]について,(1)~(3)に答えよ。

(1) 本文中の下線②について,このS課長のR社標準の試案に基づく方針では、進捗の遅れが発生した場合に,具体的にどのような対応を促すのか。35字以内で述べよ。

解答

担当者自身に、遅延リカバリの進捗状況を定量的に報告してもらう

解説

進捗遅れの具体的な対応を立案するに向けて、現状の課題を正確に把握する必要があります。現状の課題は[進捗遅れの原因分析]に記載があります。

担当者は進捗遅れを認識しているが,回復が可能だと判断し、予定どおりと報告してくるケースがある。

このように担当者の『主観』で報告がされていたことが分かります。これに対して解決策はこのように定義されています。

成果物の出来高を客観的に評価することを定着させ,評価結果を事実として共有することの意義を組織に浸透させる。

この『客観的に評価できる事実を報告する』内容を具体的に記載して解答とします。

ポイントは『客観的』『定量的』『具体的』ですので下記が解答の一例となります。

  • 遅延リカバリの進捗状況を定量的に報告させる
  • 具体的な裏付けのあるリカバリ策を提案してもらう

(2) 本文中の下線③について,すぐに改善できることとは具体的に何か。35字以内で述べよ。

解答

初回のレビュー時期をあらかじめ決めておく

解説

下線③はレビュープロセスの課題対策になります。

レビューについては[進捗遅れの原因分析]に課題が記載されています。

品質のギャップを検出する時期が遅くなると、リカバリは難しくなる

この原因は直前の文章に記載されています。これが課題ですので、下記を改善することが解答になります。

初回のレビュー時期は、レビューイの判断で決定している

解答例としてはこのようになります。

  • あらかじめ初回レビュー時期を決めておく
  • 成果物作成の初期段階初回レビュー日を決定する

(3) 本文中の下線④について,S課長がR社標準の試案をチームメンバにスムーズに浸透させるために,T主任にチームメンバと十分に議論をして試案を具体的に提案するよう指示したのは、どのような効果を期待したからか。40字以内で述べよ。

解答

チームメンバが自ら改善策の検討を行うことで、実行の意欲が高まること

解説

過去にも同様の出題がされている設問です。

試案や規則などを新たに導入しようとする際には、一方的にチーム内に周知するのではなく「チームメンバで議論させる」というプロセスを踏みます。

このプロセスの目的は『メンバそれぞれが自分たちで出した答えであると納得させる』ことです。ルールがあるだけで守られなければ意味がありませんので、メンバが意識的に順守し実行してくれる環境をつくることがプロジェクトマネージャの役目です。

設問3 [T主任の提案]について,(1)~(3)に答えよ。

(1)S課長とT主任は,進捗率の算出方法をどのように見直すことにしたのか。
“テスト仕様書兼成績書を除くドキュメント類”の進捗率の算出方法について,表1における進捗率の算出方法欄に倣って30字以内で答えよ。

解答

レビュアがレビュー済みのページ数/計画ページ数

解説

まず「算出方法の見直し」に関する記載がどこにあるかを探す必要があります。[T主任の提案]の前半ではなく最終段落にあります。見直しの内容には下記が挙げられています。

進捗率の算出方法について、品質の観点を加えて見直しを行う

『品質の観点』とは、[進捗遅れの原因分析]ではレビューの進捗管理に課題があることが挙げられていましたので、この観点で見直しを行います。

下記が解答の一例です。

  • レビュアがレビュー済みのページ数/計画ページ数
  • 担当者がレビュー指摘対応済みのページ数/計画ページ数

(2) S課長とT主任は,プロジェクトの状況や課題の分析を会議前に実施することによって,進捗会議をどのような場として有効活用することにしたのか。30字以内で述べよ。

解答

分析結果を共有し、適切なリカバリ策を合意する場

解説

見直しの内容の2つ目に記載されている内容がほぼ解答になります。

・進捗会議の場を有効活用するために,各自の成果物の出来高実績,担当部分のSPI及び今後の見通しの報告は会議前に実施する。それを受けてT主任は,プロジェクトの状況や課題を会議前に分析する。進捗会議では,その内容を共有する。遅れを認識しているチームメンバは、リカバリ策を検討して会議に臨む

(3) 本文中の下線⑤について,S課長とT主任は,どのような切り口のSPIを重点的に監視することにしたのか。25字以内で述べよ。

解答

クリティカルパス上の活動群のSPI

解説

SPI:Schedule Performance Index

プロジェクトマネジメント手法のEVMで利用される指標の一つで、計画時に見積もられた、ある時点までに達成すべき作業の予算コストの合計(PV:Planned Value)に対する、その時点で完了した作業の予算コストの合計(EV:Earned Value)の比率のことです。

予定に対してどの程度完了しているかという作業進捗に関する指標ですので、進捗に関して[進捗遅れの原因分析]でメンバ以外の切り口で複数課題として挙げられていた内容を確認します。

チームメンバがクリティカルパス上の活動を認識していないので、該当の活動に関する部分の検知と対応が遅れ、マイルストーンに間に合わなくなることがある。

[進捗遅れの原因分析]

クリティカルパス上の活動を識別し、重点的に監視する

[進捗遅れの原因分析]

よって、クリティカルパスを重点的に監視していく必要があると分かります。

総括

平成31年度は問3が一番解きやすかったのではないかと印象を持ちました。前提となる知識も特別なものはなく、問題文から解答までの道筋が比較的見えやすかったかと思います。

問1と問2は全体を見ると解きやすい部類にはなりますが、中には解答が割れる設問もありました。

試験中に初見でこれらを見抜くことはできませんので、どのような設問選択をしても合格点には届くよう対策が必要です。

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