システムアーキテクト 過去問解説 令和4年度春季【 午後1】
システムアーキテクトの解答速報です。
試験当日公開の初版は7割程度の正答率と思っていただければと思います。夜中に解いているので寝ぼけているところあったらすいません。
【追記】IPA公式解答と照らし合わせた解答確認も完了しております。解説で分かりづらい部分があれば、コメントかtwitterにてご連絡ください。
更新履歴 | 更新日時 | 解説 |
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初版 | 2022/4/18 01:15 | |
第二版 | 2022/4/19 22:30 | 問3作成 問1設問1(1)の解答修正 |
最終版 | 2022/6/21 | IPA公式解答で全体見直し。修正点無し |
総評
問1 | コンタクトセンタのクラウド化に関する問題 難易度 易 |
問2 | 品質管理システムの構築に関する問題。問題文をただ読むだけではなく、読み込みが必要な問題がいくつかあり 難易度 やや難 |
問3 | 保険申込システムの再構築に関する問題 引っかけのような問題はなく注意深く読んでいけば解答できると思います。 難易度 普通 |
- 1. システムアーキテクト試験 問1 コンタクトセンタのクラウド化
- 1.1. 設問1 [新たなコンタクトセンタシステムの構築]について,(1)~(5)に答えよ。
- 1.1.1. (1)クラウド型 PBX を導入した、オペレータの勤務形態の改善に関する目的を25字以内で述べよ。
- 1.1.2. (2)AIチャットボット及びボイスボットでは,稼働当初はどのような問合せに対応することを想定しているか。問合せ時の顧客の行動を表1中から全て答えよ。
- 1.1.3. (3)ある条件のときは,AIチャットボットから有人チャットを起動できない設定にしているが,それはどのような条件のときか。コンタクトセンタの運用を踏まえて, 20字以内で述べよ。
- 1.1.4. (4)電話のコールバックの仕組みを導入して解決を図る直接的な課題を表2中の(a)~(i)の記号で一つ答えよ。
- 1.1.5. (5)キーワード分析の機能を商品事業部の社員が利用できることにした理由を35字以内で述べよ。
- 1.2. 設問2 [コンタクトセンタシステム構築後の運用]について, (1)~(3)に答えよ。
- 1.2.1. (1)本文中の下線1で想定する効率的な顧客対応とは具体的にどのようなものか。25字以内で述べよ。
- 1.2.2. (2)本文中の下線2の状況として,カスタマサービスの課題から二つ想定している。一つは,特定のコンタクトセンタへの問合せが急増して,対応しきれなくなりそうな状況である。もう一つ想定している状況を 30 字以内で述べよ。
- 1.2.3. (3)随時 FAQの作成・更新を行い,公開できるようにした目的を,カスタマサービスの課題を踏まえて 30 字以内で述べよ。
- 2. システムアーキテクト試験 問2 品質管理システムの構築
- 2.1. 設問1 検査担当者変更機能,及び品質検査指示作成機能について, (1)~(3)に答えよ
- 2.1.1. (1)表1中の検査担当者変更ファイルのa に入れる,主キーとなる属性を全て答えよ。
- 2.1.2. (2)表2中のbに入れる適切な字句を20字以内で述べよ。
- 2.1.3. (3)社員コードを,表2中のAで品質検査指示実績ファイルから抽出せずに, 表2中のBで検査担当者マスタから抽出している理由を,新システムへの要望を踏まえて30字以内で述べよ。
- 2.2. 設問2 表2中の下線1における条件の対象となる二つの項目を,表1中の属性の中から答えよ。また,それぞれの項目が満たすべき条件を15字以内で述べよ。
- 2.3. 設問3 出荷前承認機能について, (1)~(3)に答えよ。
- 2.3.1. (1)[現行の製造及び品質管理の概要]の(ア)~(キ)までの業務のうち、新システムでは不要となる業務が二つある。不要となる業務を(ア)~(キ) の記号で二つ答えよ。また,その理由を30字以内で述べよ。
- 2.3.2. (2)表2中の c , d に入れる抽出条件を,表1中の属性を用いて15字以内で述べよ。
- 2.3.3. (3)製品検査の完了後,承認入力の操作を必須とした理由は二つある。一つは 出荷前承認記録ファイルのレコードを作成し出荷前承認の記録を残すためである。もう一つの理由を35 字以内で述べよ。
- 3. システムアーキテクト試験 問3 保険申込システムの再構築
- 3.1. 設問1 [現在の業務とK社の保険申込システムの概要]について,本文中の下線1このようにしている理由を業務上の観点から 40 字以内で述べよ。
- 3.2. 設問2 新システムの設計について, (1)~(4)に答えよ。
- 3.2.1. (1)ペーパレス手続から書面手続に切替え可能な状況にある申込書データの申込ステータスを表1中の字句を用いて全て答えよ。
- 3.2.2. (2)改ざん検知を考慮した設計が必要な新システムの機能を,表1中の機能名を用いて全て答えよ。
- 3.2.3. (3)本文中の下線2の不備対応時間の短縮を考慮して設計した新システムの機能を表1中の機能名を用いて全て答えよ。また,考慮した内容を20 字以内で述べよ。
- 3.2.4. (4)本文中の下線3の要望を考慮して設計した新システムの機能を表1中の機能名を用いて答えよ。また,考慮した内容を25 字以内で述べよ。
- 3.3. 設問3 実績集計機能について,(1), (2)に答えよ。
- 3.3.1. (1)表1中の下線4は,どのような値を算出すればよいか。表1中の機能概要中の字句を用いて40字以内で述べよ。
- 3.3.2. (2)表1中の下線3は、どのような値を算出すればよいか。表1中の機能概要中の字句を用いて35字以内で述べよ。
システムアーキテクト試験 問1 コンタクトセンタのクラウド化
設問1 [新たなコンタクトセンタシステムの構築]について,(1)~(5)に答えよ。
(1)クラウド型 PBX を導入した、オペレータの勤務形態の改善に関する目的を25字以内で述べよ。
解答
在宅勤務による業務もできるようにする
解説
クラウドPBXはインターネットを経由してPC上で対応できるようになります。すなわち場所にとらわれずに業務を行うことができます。
このこととコンタクトセンタの課題を照らし合わせ解答します。
(2)AIチャットボット及びボイスボットでは,稼働当初はどのような問合せに対応することを想定しているか。問合せ時の顧客の行動を表1中から全て答えよ。
解答
- 購入方法の情報収集
購入した商品の使用- 会員情報の確認
解説
AIチャットボットは「FAQを参考に自動回答したり、定型的な手続きを実行したりする」ことを実現できます。
表1で自動で回答できそうなものは
「購入方法の情報収集」「購入した商品の使用」「会員情報の確認」です。しかしAIチャットボットは「使用中の商品に関する問い合わせは稼働当初は対象にしない」と記載されています。
よって解答は残りの2つ。
(3)ある条件のときは,AIチャットボットから有人チャットを起動できない設定にしているが,それはどのような条件のときか。コンタクトセンタの運用を踏まえて, 20字以内で述べよ。
解答
オペレータの勤務時間外の場合
解説
オペレータは勤務していない時間帯もあります。その時間帯は有人チャットは起動しないように制御する必要があります。
(4)電話のコールバックの仕組みを導入して解決を図る直接的な課題を表2中の(a)~(i)の記号で一つ答えよ。
解答
c
解説
コールバックは「顧客を長時間待たせない」ための対策です。該当する課題はcのみ
(5)キーワード分析の機能を商品事業部の社員が利用できることにした理由を35字以内で述べよ。
解答
問合せ内容から商品の改善につながる情報を分析するため
解説
「商品事業部の社員が利用できるようにした」とあるので、商品事業部からのなんらかの要望があったと推測できます。
そこで、表2 カスタマーサービスの課題の商品事業部の社員部分を確認すると、要望内容が記載されています。
設問2 [コンタクトセンタシステム構築後の運用]について, (1)~(3)に答えよ。
(1)本文中の下線1で想定する効率的な顧客対応とは具体的にどのようなものか。25字以内で述べよ。
解答
同時に複数の顧客との対応ができるようにする
解説
突然チャットの会話が途切れても、複数の顧客と対応しておくことで待ち時間が削減できます。
(2)本文中の下線2の状況として,カスタマサービスの課題から二つ想定している。一つは,特定のコンタクトセンタへの問合せが急増して,対応しきれなくなりそうな状況である。もう一つ想定している状況を 30 字以内で述べよ。
解答
特定のコンタクトセンタを閉鎖しなければならない状況
解説
表2中のコンタクトセンタ管理者のヒアリング結果参照
(3)随時 FAQの作成・更新を行い,公開できるようにした目的を,カスタマサービスの課題を踏まえて 30 字以内で述べよ。
解答
FAQを掲載することで新商品発売時の問合せを減らすため
解説
こちらも表2参照
システムアーキテクト試験 問2 品質管理システムの構築
設問1 検査担当者変更機能,及び品質検査指示作成機能について, (1)~(3)に答えよ
(1)表1中の検査担当者変更ファイルのa に入れる,主キーとなる属性を全て答えよ。
解答
- 製造日
- 便コード
- 品目コード
解説
検査担当が変更された場合に、どのような単位で変更が行われるかがポイントです。
[製造から出荷までのながれ]に品質検査担当者変更時の変更方法について下記の通り記述されています。
「製造日」「便」「品目」に対して変更しているので、これが主キーになります。
(2)表2中のbに入れる適切な字句を20字以内で述べよ。
解答
品質検査の実施見込回数の確認
(公式解答:各検査担当者の作業負荷の確認)
解説
作業担当者変更について、どのような要望が上がっているかを確認すると「作業負荷を確認したい」という記載があります。
そのために実施見込回数を参照したいと具体的な機能要望がありますので、これが解答になります。
(3)社員コードを,表2中のAで品質検査指示実績ファイルから抽出せずに, 表2中のBで検査担当者マスタから抽出している理由を,新システムへの要望を踏まえて30字以内で述べよ。
解答
変更前の担当者の割当てに従って集計するため
解説
「品質検査指示実績ファイル」から抽出すると、作業担当者変更があった場合に「変更後の担当者」に従って集計されます。
しかし今週分は元々予定されていた担当者をベースに計画が作成されるため、「検査担当者マスタ」から社員コードを抽出する必要があります。
設問2 表2中の下線1における条件の対象となる二つの項目を,表1中の属性の中から答えよ。また,それぞれの項目が満たすべき条件を15字以内で述べよ。
解答
設問 | 解説 |
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検査結果 | 未実施 |
製造完了日時 | 最も古い日時 |
解説
条件については2つの観点があります。
- 「対象を絞る」という絞り込み条件の観点
- 「次に検査対象となるロット」という順序の観点
絞り込み条件の方は、『検査未実施』で絞る必要があることはすぐにわかると思います。
あとは順序の観点ですが、検査順序は[現在の製造及び品質管理の概要]に記載されています。
製造完了日が古い順にロットの品質検査を実施する事になっているため、これが解答です。
設問3 出荷前承認機能について, (1)~(3)に答えよ。
(1)[現行の製造及び品質管理の概要]の(ア)~(キ)までの業務のうち、新システムでは不要となる業務が二つある。不要となる業務を(ア)~(キ) の記号で二つ答えよ。また,その理由を30字以内で述べよ。
解答
オ、カ
出荷前承認機能により検査担当者からの報告が不要になるため
解説
[新システムへの要望]最下部にある品質記録票や出荷前承認記録票を廃止したいという要望の通り、機能が導入されています。そのためこれら報告業務が不要になります。
(2)表2中の c , d に入れる抽出条件を,表1中の属性を用いて15字以内で述べよ。
解答
設問 | 解説 |
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c | 追加フラグが"通常" |
d | 検査結果が"合格" |
解説
製造予定だったものが正しく製造され、検査実績件数と一致していることを確認する必要があります。
まず製造予定の件数を把握するには、製造開始前に作成したレコードの中で追加フラグが「通常」のレコードを数えます。
ここで「追加」は含めません。なぜなら、追加分は検査時に不合格となったものを再度製造したものなので、予定になかった作業指示だからです。
あとは検査実績を抽出する条件を決めればいいのですが、これはシンプルに「検査結果が合格した」ものを数えれば問題ないですね。
(3)製品検査の完了後,承認入力の操作を必須とした理由は二つある。一つは 出荷前承認記録ファイルのレコードを作成し出荷前承認の記録を残すためである。もう一つの理由を35 字以内で述べよ。
解答
品質管理規定に従って各部署からの報告に基づいた最終確認を検査責任者が行うため
解説
[現行の製造及び品質管理の概要]から(キ)出荷前承認最終行をほぼそのまま抜粋
システムアーキテクト試験 問3 保険申込システムの再構築
設問1 [現在の業務とK社の保険申込システムの概要]について,本文中の下線1このようにしている理由を業務上の観点から 40 字以内で述べよ。
解答
提案書番号から申込内容を作成しており、一意である必要があるため
(公式解答:申込書と基になった提案書の内容が不整合にならないようにしているから)
解説
保険申込業務では、提案から申し込みを作成しています。そのため、提案番号と申込内容はそれぞれ一意に紐付いている必要があります。
同じ提案番号に複数の申込が存在すると、どれが正しいのかわからなくなってしまいますね。
設問2 新システムの設計について, (1)~(4)に答えよ。
(1)ペーパレス手続から書面手続に切替え可能な状況にある申込書データの申込ステータスを表1中の字句を用いて全て答えよ。
解答
- ペーパーレス手続き選択済
- 申込確認済み
- 申込書入力済み
解説
切替可能なのは告知手続き完了までという制限があります。告知手続きまでの申込ステータスは3つ。
(2)改ざん検知を考慮した設計が必要な新システムの機能を,表1中の機能名を用いて全て答えよ。
解答
- 申込書入力
- 告知手続
解説
顧客に署名を求める機能が該当します。
(3)本文中の下線2の不備対応時間の短縮を考慮して設計した新システムの機能を表1中の機能名を用いて全て答えよ。また,考慮した内容を20 字以内で述べよ。
解答
- 申込確認
- 申込書入力
- 告知手続き
- 取扱報告書作成
入力内容の誤りをその場で表示する
解説
表1のなかで、入力チェックを行っている機能は下記5つ
- 提案書作成
- 申込確認
- 申込書入力
- 告知手続き
- 取扱報告書作成
[現在の業務]内容を確認すると、提案書は責任者のチェックは行われておりません。よって解答は残りの4つ。
(4)本文中の下線3の要望を考慮して設計した新システムの機能を表1中の機能名を用いて答えよ。また,考慮した内容を25 字以内で述べよ。
解答
ペーパーレス手続きメニュー
次に実施する作業メニューだけ活性化する
解説
手続きの順番に関する機能は「ペーパーレス手続きメニュー」のみになります。
設問3 実績集計機能について,(1), (2)に答えよ。
(1)表1中の下線4は,どのような値を算出すればよいか。表1中の機能概要中の字句を用いて40字以内で述べよ。
解答
申込書入払込方法選択日時が当月中の申し込みの申込日時から払込方法選択日時の差
解説
ポイントは2点
- 当月に申込手続業務が完了した申込
- 手続所要時間の計算
この2つを説明すれば解答になります。
(2)表1中の下線3は、どのような値を算出すればよいか。表1中の機能概要中の字句を用いて35字以内で述べよ。
解答
連携日時が当月中の申し込みの申込日時から連携日時の差
解説
(1)とほぼ一緒。逆に言うと(1)が解けないと多分解けていないと思われます。
- 当月に契約管理システムに連携された申込
- 申込書到着所要時間の計算
問3の設問2の(3)
提案書の内容がそのまま申込書に流れて結局は内容が間違ってれば不備に繋がるので
提案書作成機能も対象では?
コメント頂きありがとうございます。
申込書が対象なのであれば、「元となっている提案書のチェック機能も対象なのでは」ということですよね。
おっしゃって頂いてることは一理あると思っております。
正解はIPAのみぞ知るというところです。