ITストラテジスト試験 令和4年午後2論述解説

論述試験の解説があまり見当たらなかったので作ってみました。

論述のサンプルも作っていますが、詳しくない保険業界をテーマにしています。詳しい方から見ると違和感があるかもしれませんが、試験対策の流れだけ見て頂ければ幸いです。

設問ア あなたが携わったITを活用した顧客満足度を向上させる新商品や新サービスの企画において、事業概要、顧客満足度を向上させることが必要になった背景を、事業特性とともに800字以内で述べよ。

毎度おなじみの内容です。設問アまでは準備した内容で論述が進められるでしょう。

出題意図の整理

まずは題材でのテーマを改めて確認します。テーマは『ITを活用した顧客満足度を向上させる新商品や新サービスの企画』です。

顧客満足度を向上させる必要があるということは、顧客満足度に何らかの課題がある前提に立って考える必要があります。この前提を整理させるのが設問アですね。

論述すべきポイント

設問アで挙げた内容を設問イ以降に詳細論述していく必要がありますので、設問イの内容を先に見ておくと後からポイントのズレがなくなるのでお勧めです。

設問イでは「顧客との接点や関係性、新たな価値、扱うデータを明確にして」論述せよというテーマなので、これらを設問アでも触れながら論述を進めていくと一貫性のある論述になると思います。

これらを踏まえて、設問アで論述するポイントは下記です。

  • 事業概要、事業特性 ← そのまま
  • 顧客満足度にどのような課題があるか ← 設問イでこれを解決して、業務課題解決だけでなく「新たな価値」につなげる
  • 顧客満足度の課題が経営視点で与えている影響 ← ITストラテジスト視点。設問ウで経営層への提案につなげる
  • 現状で顧客とどのような接点があるか、関係性なのか ←設問イに関連
  • 顧客満足度をどう変えようとしているか ← 何%アップなど
  • 顧客との間でどのような情報を取り扱っているか ← 設問イにつなげる

これらを記述すれば800文字にかなり近い文字数になるとハズです。

論述サンプル

題材は保険会社、使ったITは流行りのAIでいきましょう。これで350文字くらいなので試験では倍くらいの記述を目指しましょう。

A社は中堅保険会社として順調に業績を伸ばしている。しかし事業の拡大に伴って業務が煩雑になっており、顧客への対応時間が年々増加している。

新規のご契約・継続加入者の顧客からも、問い合わせや保険の提案依頼に対するレスポンスの遅さが指摘されており顧客満足度を下げる要因となっている。また、顧客に合わせた保険の提案内容が担当者によって異なっていることも課題である。

業務の煩雑さに伴うコスト増は経営視点での課題にも直結し、同業他社と比較した業務コストは2倍にもなっていると試算されている。利益率向上が喫緊の課題であることは経営層にも認識されており事業目標として利益率5%向上を掲げている。

A社のITストラテジストである私はこれらの解決のため、AIによる保険加入業務・保険提案業務の効率化を目指して企画検討を開始した。

設問イ 設問アで述べた顧客満足度を向上させるために、ITを活用してどのような新商品や新サービスを企画したか。顧客との接点や関係性、新たな価値、扱うデータを明確にして、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

出題意図の理解

設問イが午後2論述のメインテーマです。主に合否が分かれるのはここです。

設問イでは『設問アで扱った前提事項を元に、ITを活用してITストラテジスト視点でどのように解決しようとしたか』を論述していきます。大事なことなのでもう一度言いますがITストラテジスト視点がポイントです。

論述のポイント

題意メインで論述すべき内容はこちら。

  • ITを活用してどのような新商品は新サービスを企画したか

上記を説明するために、下記のポイントを交えながら具体的に論述することが求められます。

  • 顧客との接点や関係性
  • 新たな価値
  • 扱うデータ

さらに忘れてはならないのは、ITを活用して解決するべき課題は設問アで述べた顧客満足度の向上でしたね。この軸は必ず一貫している必要があります。

論述サンプル

保険業務に詳しくないのであくまでサンプルとして流れだけ見て頂ければ幸いです。

企画した新サービス

保険加入業務・保険提案業務の効率化に向けた私はAIの導入を検討した。具体的には顧客の情報をもとに適切な保険内容を提案する業務にAIを導入して現状の課題を解決できると考えた。

そしてこのシステムを利用した新サービスは「顧客の情報をライフステージに合わせて入力することにより、顧客ごとに最適な保険内容を提案できる」というものである。

今までの業務では顧客との接点は保険加入時がメインとなり、その後のライフステージの変化などは情報として入手することができていなかった。さらに顧客から相談を受けた場合でも、業務としてのノウハウが蓄積できていないために顧客への提案に時間がかかったり担当者によって提案内容が異なるなど顧客に不信感を与える原因となっていた。これでは顧客との適切な関係性を保つことができず、ライフステージの変化点での保険の見直しなどで他社へ流れてしまうことなども多かった。

このような課題に対して保険加入業務・保険提案業務にAIを導入しモデルを構築していくことで、顧客ごとに適切な保険内容を即座に提案できるサービスの具体的な検討に着手した。

設問ウ 設問イで述べた顧客満足度を向上させる新商品や新サービスの企画について、経営層に何を提案しどのように評価されたか。経営層の評価を受けて改善したこととともに、600字以上、1,200字以内で具体的に述べよ。

出題意図の理解

設問ウの内容は毎回ほとんど同じです。経営層に提案したこと、とはすなわち経営視点での検討内容を述べよという事です。

ITストラテジストはシステムの導入を目指すだけではなく、導入したシステムが会社の経営にどうメリットがあるのかも考えなくてはなりません。

論述のポイント

設問アとイからの一貫性を持たせつつ大事なポイントはこれらです。

  • ビジネスモデルを経理層に理解させるために工夫した点は何か
  • 提案した新サービスがどのくらい経営にメリットがあるのか
  • リスクはどこにあると想定しているか、対策はどう考えているか
  • 設問アで述べた経営課題がどの程度解決するのか

ちなみに、「経営層の評価を受けて改善したこと」は実際には特になかったとしても何か作って論述した方がいいです。文字数の理由もありますし、設問への回答という意味でも。

これはストーリーに一貫性があれば何でもいいと個人的には思っているので、何か作って書くだけ書きましょう。

まとめ

午後2の論述は時間との戦いになります。各設問ごとに問われる内容は毎年大きく変わらないので、ポイントをしっかり押さえて時間内に書ききることが大切です。

過去数年分の試験問題を見て、実際に論述してみるなどで対策をしていきましょう。

論述対策を一人で行っていると何が正解かわからなくなってくることもあると思います。当方では下記の論述添削サービスも行っておりますので、不安になりましたら下記からご相談ください。

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