ITストラテジスト過去問解説【令和元年 午後1】
IPA試験の最高峰とされる「ITストラテジスト」ですので、過去問対策はしっかりと行う必要があります。
私は運よく一発で合格できたのですが、嬉しくて成績照会をキャプチャして
いまでも大事に保存しております。
IT知識の対策だけでなく、国語の問題的な要素も強い試験なので
読解力を知識面の双方を問われる問題が多いです。
IPAのシラバスも事前に読んでおきましょう。
高度 IT 人材として確立した専門分野をもち,企業の経営戦略に基づいて,ビジネスモデルや企業活動における特定のプロセスについて,情報技術(IT)を活用して事業を改革・高度化・最適化するための基本戦略を策定・提案・推進する者。
また,組込みシステム・IoT を利用したシステムの企画及び開発を統括し,新たな価値を実現するための基本戦略を策定・提案・推進する者
IPAシラバス ITストラテジスト
- 1. 問1 化学品メーカにおけるデジタルトランスフォーメーション推進
- 1.1. 設問1
- 1.1.1. (1)A社は、ITの活用によって、具体的にA社輸出入業務のどのような品質を向上しようと考えたか。30字以内で述べよ
- 1.1.2. (2)A社輸出入業務のボトルネックとなる作業とは何か。35字以内で述べよ。
- 1.2. 設問2 [IT活用の検討]において、OCRで識別できなかった場合に、ソフトウェアロボットで具体的にどのような作業を行うことを検証したか。35字内で述べよ。
- 1.3. 設問3 [実証実験の評価]において、作業の自動化が進んだ場合に、貿易システムと関連するシステムとの連携上のプロセスについて改善できる作業は何か。30字以内で述べよ。
- 1.4. 設問4
- 1.4.1. (1)A社のIT部門が、実証実験を通じて分かったA社輸出入業務の統制上の課題とは何か。40字以内で述べよ。
- 1.4.2. (2)A社が、IT部門によるレビューなしに、ソフトウェアロボットを本番稼働させない方針とした理由として、実証実験で、どのようなリスクがあると考えたからか。40字以内で述べよ。
- 2. 問2 保険会社の新事業の企画
- 2.1. 設問1
- 2.1.1. (1)B社が新商品を開発する狙いは何か。25字以内で述べよ
- 2.1.2. (2)B社が試行販売する狙いは何か。30字以内で述べよ
- 2.1.3. (3)B社が、新商品システムを自ら管理するようにした理由は何か。25字以内で述べよ
- 2.2. 設問2
- 2.2.1. (1)B社から提供されたデータなどの健康保険組合での活用方法はどのようなものか。25字以内で述べよ
- 2.2.2. (2)B社が新たな事業に取り組む狙いは何か。25字以内で述べよ
- 2.2.3. (3)B社が、被保険者の健康データに加えて、疾病情報を学習させる理由は何か。35字内で述べよ
- 2.3. 設問3
- 2.3.1. (1)健康保険組合が追加機能を要望した背景はどのようなものか。30字以内で述べよ
- 2.3.2. (2)C社とD社が追加機能の要望に取り組むことにした狙いは何か。それぞれ20字以内で述べよ。
- 3. 問3 大学受験向け予備校合併に伴うITを活用したビジネスモデルの見直し
- 3.1. 設問1
- 3.1.1. (1)個別指導型オンライン講座を新設することによって、F社に通う学生のどのようなニーズにこたえることができるのか。20字以内で述べよ
- 3.1.2. (2)ある情報を講座内容に取り入れて見直しを図ることで、G社に通う学生のどのようなニーズに答えることができるか。25字以内で述べよ
- 3.1.3. (3)G社に通う学生のニーズに答えるために、G社の講座内容に取り入れる情報は何か。15字以内で述べよ
- 3.2. 設問2
- 3.2.1. (1)F社はLSの情報を活用してどのような状況を改善したいと考えているか。35字以内で述べよ
- 3.2.2. (2)ALSが出題する演習問題の適応度を高めるために活用を検討する情報とは何か15字内で述べよ
- 3.3. 設問3
- 3.3.1. (1)学習時間の記録を可能とした理由は何か。25字以内で述べよ
- 3.3.2. (2)講座の新設とは別に、講師と学生が双方向でコミュニケーションできる機能を追加する目的はなんか。20字以内で述べよ
- 4. 問4 自動運転技術を用いた海底探査システム
- 4.1. 設問1
- 4.1.1. (1)L氏が、無人海底探査機の開発は技術的に可能であると判断するための条件としたZ社との契約とは何か。25字以内で述べよ。
- 4.1.2. (2)L氏が、無人海底探査機は有人潜水調査船と比較し、大幅に安価な製品として開発することが可能であると考えた理由を、20字以内で述べよ。
- 4.1.3. (3)L氏が、将来にわたる事業性について、海底調査をする市場は収益面でリスクがあると判断した理由を、25字以内で述べよ。
- 4.2. 設問2
- 4.2.1. (1)L氏が、海底探査システムの事業を手掛けるに当たって、新たな開発体制の構築が必要であると考えたのはなぜか。X社の置かれた状況を考慮して、40字以内で述べよ
- 4.2.2. (2)L氏が、無人海底探査を複数同時に運行して探査することによって、現在の海底探査のどのような問題を解決しようとしたか。25字以内で述べよ
- 4.3. 設問3
- 4.3.1. (1)L氏が、今後のY社の事業にも貢献できると考えたのは、自動車メーカーのどのような状況からか。その状況を30字以内で述べよ。
- 4.3.2. (2)L氏が考えた、今後Y者が目指すことになると思われる事業を、10字内で述べよ
- 4.3.3. (3)L氏は、海底探査システムで開発した技術を基に、新たにどのような技術を開発してY者に提供することを想定したか。35字以内で述べよ。
- 5. ITストラテジスト 過去問解説
ITストラテジスト 令和元年午後1 問1 化学品メーカにおけるデジタルトランスフォーメーション推進
設問1
(1)A社は、ITの活用によって、具体的にA社輸出入業務のどのような品質を向上しようと考えたか。30字以内で述べよ
解答
入力ミスのない正確性と書類が滞留しない即時性
解説
P.4[IT活用の検討]で述べられている。「作業の正確性と即時性を高めることを目とした~」の部分を引用し記述する。
(2)A社輸出入業務のボトルネックとなる作業とは何か。35字以内で述べよ。
解答
引渡条件や保険に関する情報を貿易システムに手入力する作業
解説
「(2)A社輸出入業務の課題」の最後に述べられている「A社輸出入業務のボトルネックが改善されない限り~~」で述べられている作業を指す。
これは「(2)A社輸出入業務の課題」で作業負荷が最も大きいと表現されている『引渡条件や保険に関する情報を貿易システムに手入力する作業』のこと
設問2 [IT活用の検討]において、OCRで識別できなかった場合に、ソフトウェアロボットで具体的にどのような作業を行うことを検証したか。35字内で述べよ。
解答
マスタを検索したり、過去の契約情報と照合したりして確認する
解説
OCRで識別できないと想定される状態は、「(2)A社輸出入業務の課題」に記載されている『商品コードや出荷先住所などの文字がかすれていることがある』こと。
この課題に対し、業務上どのように対応しているかというと『作業担当者は~~マスタ検索したり過去の契約情報と照合したりして確認する、海外の子会社・関連会社に連絡して確認』している。
ソフトウェアロボットが子会社・関連会社に連絡することはできないので、前半部分のみが解答となる。
設問3 [実証実験の評価]において、作業の自動化が進んだ場合に、貿易システムと関連するシステムとの連携上のプロセスについて改善できる作業は何か。30字以内で述べよ。
解答
インターネットバンキングとの間で行う日次でのデータ交換
解説
「(2)A社輸出入業務の課題」の最後に記載の通り、最終的に実現したいのは「インターネットバンキングでのダウンロード作業・アップロード作業の頻度を増やすこと」である。そのために手間のかかる作業を自動化し、システム連携上のプロセス改善にリソースを割きたいため。
設問4
(1)A社のIT部門が、実証実験を通じて分かったA社輸出入業務の統制上の課題とは何か。40字以内で述べよ。
解答
ソフトウェアロボットの稼働に関する管理が十分でないこと
解説
統制とは『一定の計画・意図に従ってとりしまること』です。統制上の課題とは平たく言うと管理できていないという事ですね。
これは[実証実験の評価]の最後の行に課題が記載されている。
~が、他のソフトウェアロボットの誤作動や異常停止の原因になり、A社輸出入業務の継続性が脅かされるおそれもあった
この原因として記載されているが、『自ら思い思いに多くの種類のソフトウェアロボットを作成していった』の部分である。
(2)A社が、IT部門によるレビューなしに、ソフトウェアロボットを本番稼働させない方針とした理由として、実証実験で、どのようなリスクがあると考えたからか。40字以内で述べよ。
解答
一つのソフトウェアの修正により、業務の継続性が脅かされるリスク
解説
(1)で引用した部分をそのまま解答として記載。ボーナス問題
ITストラテジスト 令和元年午後1 問2 保険会社の新事業の企画
設問1
(1)B社が新商品を開発する狙いは何か。25字以内で述べよ
解答
健康に気を配っている潜在的な契約者の取り込み
解説
[新たな医療保険の概要]の2段落目部分に記載されている
健康に気を配っている潜在的な契約者のニーズに答え、見込み客を取込、販売を拡大したい
これがこのまま解答になる。
(2)B社が試行販売する狙いは何か。30字以内で述べよ
解答
月額保険料の割引に対する商品の採算性を見極めること
解説
[新たな医療保険の概要]の中で試行販売を行うことにした説明の直前に
新商品の正式発売には割引体系の確定が必要であり、一部の顧客や特定地域をターゲットにして割引率を変えながら、試行販売を行うことにした
と記述されている。ただ、これがこのまま答えではない。
割引体系はあくまで販売の手段であるので、同様の記述がされている部分を探す。すると、3段落目に「商品の採算性を見極める必要がある」と記載があるので、この内容を採用する
(3)B社が、新商品システムを自ら管理するようにした理由は何か。25字以内で述べよ
解答
新商品が他社に真似されないようにしたいから
解説
問題文の「自ら管理するようにした理由」が本設問のキーポイント
[新たな医療保険の概要]の最終行に同じ文言があるので、その前に記載されている内容が解答となる。
設問2
(1)B社から提供されたデータなどの健康保険組合での活用方法はどのようなものか。25字以内で述べよ
解答
健康指導などの健康増進活動・予防活動への利用
解説
[新たな事業への取組]で健康保険組合が取り組んでいる課題が記載されている。
健康指導などの健康増進活動・予防活動に力を入れている。
健康保険組合の被保険者に、自ら健康増進に取り組んでもらえるかどうかに懸かっている。
その後に続く文章は上記の詳細を記載しているため、この内容を解答として整理して記載する。
(2)B社が新たな事業に取り組む狙いは何か。25字以内で述べよ
解答
被保険者のデータによる学習済モデルの精度向上
解説
[新たな事業への取組]の内容を踏まえて設問に取り組み必要があります。
B社の目的は『ITを活用した新たな医療保険の導入を企画』です。そしてAIエンジンの学習済みモデルを蓄積し、対象データを増やすことで学習済みモデルの精度向上を予定しておりました。
[新たな事業への取組]のなかで、健康保険組合をターゲットとした理由として、3行目に
大量のデータの入手が期待できることから
と記載しているので、これを踏まえて解答を作成します。
(3)B社が、被保険者の健康データに加えて、疾病情報を学習させる理由は何か。35字内で述べよ
解答
保険金請求情報に代わる情報として割引体系の確定に必要だから
解説
[新たな事業への取組]の最後に、疾病情報の用途として「学習済モデルに追加して学習させる」と記載がありますが、このままでは解答として不十分です。
[新たな医療保険の概要]の図1の下辺りに『割引体系の確定が必要であり~~学習モデルの精度を向上させていく予定である』と記載がある。この分を引用して解答を記載する。
設問3
(1)健康保険組合が追加機能を要望した背景はどのようなものか。30字以内で述べよ
解答
被保険者が自ら健康増進に取り組んでもらうため
解説
追加機能とは[健康保険組合からの要望への対応]に記載されている「~~Webにより健康指導を支援する機能」である。
健康指導を支援する背景は[新たな医療保険の概要]の2段落目に記載の通り『契約者が健康であり続けることで、保険料を割引しても長期にわたり安定的に収入が得られ、かつ保険金支払いを軽減することが期待できる。』こと。
これらを踏まえ、解答を記載する
(2)C社とD社が追加機能の要望に取り組むことにした狙いは何か。それぞれ20字以内で述べよ。
解答
C社 | クラウドサービスの適用拡大 |
D社 | AIエンジン技術の拡大 |
解説
ITストラテジスト 令和元年午後1 問3 大学受験向け予備校合併に伴うITを活用したビジネスモデルの見直し
設問1
(1)個別指導型オンライン講座を新設することによって、F社に通う学生のどのようなニーズにこたえることができるのか。20字以内で述べよ
解答
その場で苦手分野を克服したい
解説
[F社にか読む学生のニーズ]には『実践的に学習できる講座』と『その場で苦手分野を克服するための個別指導』が記載されている。このどちらかが解答になるが、個別指導型ということで後者が正解。
(2)ある情報を講座内容に取り入れて見直しを図ることで、G社に通う学生のどのようなニーズに答えることができるか。25字以内で述べよ
解答
志望する大学に特化した講座を受講したい
解説
G社の学生のニーズが記載されている箇所は[G社のIT活用状況とニーズ]の最終段落辺り
学生からは大学に特化した講座の開講を期待する声もあるが、学生のニーズには答えられていない
このニーズが問題文にある「講座内容」に関する内容となっているので、これを解答として記載する。
(3)G社に通う学生のニーズに答えるために、G社の講座内容に取り入れる情報は何か。15字以内で述べよ
解答
大学の入学試験の傾向
解説
講座内容に取り入れる「ある情報」を問う問題。問題文から推測すると下記内容となる。
・G社学生にニーズがある
・G社にない
・合併により取り入れられるようになった(=F社にある)
そこで、ニーズに関する内容を[F社のIT活用状況と課題]から探してみると『多くの大学の入学試験の傾向が蓄積されたデータベース』に関しての記述がありますので、こちらが解答になります。
設問2
(1)F社はLSの情報を活用してどのような状況を改善したいと考えているか。35字以内で述べよ
解答
多くの学生の苦手とする分野を題材として取り上げられていない状況
解説
(2)ALSが出題する演習問題の適応度を高めるために活用を検討する情報とは何か15字内で述べよ
解答
学生データベース
解説
設問3
(1)学習時間の記録を可能とした理由は何か。25字以内で述べよ
解答
学習時間の比較が自宅学習する意識を持続させるから
解説
(2)講座の新設とは別に、講師と学生が双方向でコミュニケーションできる機能を追加する目的はなんか。20字以内で述べよ
解答
小論文や面接対策を行うため
解説
ITストラテジスト 令和元年午後1 問4 自動運転技術を用いた海底探査システム
設問1
(1)L氏が、無人海底探査機の開発は技術的に可能であると判断するための条件としたZ社との契約とは何か。25字以内で述べよ。
解答
Z社の保有する水中音響通信技術を利用する契約
解説
(2)L氏が、無人海底探査機は有人潜水調査船と比較し、大幅に安価な製品として開発することが可能であると考えた理由を、20字以内で述べよ。
解答
高い安全性が必要とされないから
解説
(3)L氏が、将来にわたる事業性について、海底調査をする市場は収益面でリスクがあると判断した理由を、25字以内で述べよ。
解答
多くの企業が参入すると考えられるから
解説
設問2
(1)L氏が、海底探査システムの事業を手掛けるに当たって、新たな開発体制の構築が必要であると考えたのはなぜか。X社の置かれた状況を考慮して、40字以内で述べよ
解答
自動運転技術を3年以内に実用化することを強く求められているから
解説
(2)L氏が、無人海底探査を複数同時に運行して探査することによって、現在の海底探査のどのような問題を解決しようとしたか。25字以内で述べよ
解答
広域の調査には長い期間と高いコストがかかる
解説
設問3
(1)L氏が、今後のY社の事業にも貢献できると考えたのは、自動車メーカーのどのような状況からか。その状況を30字以内で述べよ。
解答
新たな技術開発を行うことを継続的に求められている
解説
(2)L氏が考えた、今後Y者が目指すことになると思われる事業を、10字内で述べよ
解答
空飛ぶ車の事業
解説
(3)L氏は、海底探査システムで開発した技術を基に、新たにどのような技術を開発してY者に提供することを想定したか。35字以内で述べよ。
解答
多機能が3次元空間を安全に移動するための高度な自動飛行技術
解説